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小さな香り歳時記 13「余寒」

イラストレーターでエッセイストの平野えり子さんのコラム「小さな香り歳時記」。
四季のある日本の暮らしの中で、ふと感じる季節、ふと漂ってくる香りを綴っていただきます。(偶数月更新)
第十三回目は「余寒」です。




木々の新芽が萌えるまでの楽しみは、小鳥をベランダによぶこと。
食べ物が枯渇する冬のあいだ、「よかったらどうぞ」と餌箱にひまわりの種を入れておく。
餌箱を置いたベランダには、次々順番に小鳥がやって来る。
種をひとつ嘴にくわえては飛んでいく姿の愛くるしいこと。
順番待ちの小鳥たちは、近くの木の枝に止まってお行儀よく待っている。

よく来る小鳥はシジュウカラとヤマガラ。
たまにゴジュウカラも訪ねてくる。
そして地味ながらおしゃれなカシラダカも。
キジの姿も見かけるけれど、まさかひまわりの種を食べには来てくれない。
あたりを歩き回って時々「ケンケ~ン」と鳴く様子がユーモラスだ。

順番を守るとはいっても、小鳥どうし餌箱で鉢合わせをすることもある。
すると、譲るのはたいていシジュウカラ。
ヤマガラの方が少しだけ優位なようだ。体もほんの少し大きいかな。

あるお天気のいい午後、部屋にいると突然西側の外壁に何かぶつかる大きな音。
なんだ? と思っていると、今度は同じように屋根でドンと音がした。
なになに? と天井を見上げていると、さらに東側の窓になにやら激突。
おどろいて窓まで走って行って外をのぞくと、ヤマガラとシジュウカラが取っ組み合いをしている。
仰向けになったシジュウカラの上にのしかかるヤマガラ。
双方激しく鳴きながら地面でジタバタやりあっている。
ヒマワリのタネをついばむあの愛くるしい姿からは想像もつかない凶暴な様子だ。

これはシジュウカラを助けに行ったほうがいいだろうか、いや自然の摂理で喧嘩してんだからほっとこうか、と迷っているうちあっという間にヤマガラはシジュウカラの胴を足でつかんで南の方へ飛んで行った。ヒ~。

とはいえ、そんな事件があったのは一度だけ。
今日も小鳥たちは仲良くお行儀よく、餌箱に順番にやって来ている。
と思って今見たら、空中で追いかけっこしているよ。あ~あ~。




絵・文 : 平野えり子

1961年、静岡県生まれ、横浜育ち。
イラストレーター、エッセイスト。
山歩きや旅、暮らしについてのイラストとエッセイの作品を多数発表。
www.yes-hhh.website

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